理想的な社会の形・その3
エイジャは、
オープン当初から、
相互鑑賞の雰囲気を大切にするという、
コンセプトで営業してきたわけなのですが、
(あっさり、書きましたが、
いろいろと紆余曲折はありました)
でも、商売として、
カップル喫茶というものを考えますと、
これはある意味、
矛盾した営業の仕方と言っても良いかと思います。
なぜかといえば、
お客さまの大多数は、
(たぶん、8割以上)
相互鑑賞以上を楽しみたいと思って、
ご来店されているからです。
それだけでなく、
できれば、気の合うカップルさん同士、
トークも存分に楽しめたら良いなというのが、
多くのお客さまの本音ではないでしょうか。
なので、
商売として考えるのであれば、
お客さまのご要望に応えるため、
お客さま同士の交流を促進するように営業するのが、
一番、理にかなっているように思います。
それなのに、
エイジャでは、
相互鑑賞の雰囲気を大切にしていますので、
気の合ったカップルさん同士が、
楽しく交流することには、
一定の難しさが伴います。
大多数のお客さまのご要望に対して、
直接的には、
応えようとしていないんですよね。
これは、
一見、矛盾しているように思われます。
このことは、
「部分と全体」
の関係について理解すると、
ご納得いただけるのではないかと思います。
部分にとって良いことと、
全体にとって良いこととの間には、
違いがあるんですよね。
ひとりひとりのお客さまの満足と、
全体としてのお客さまの満足は、
違うということであります。
例えばですが、
みんなが座って、コンサートを観ていたところ、
1人の人が、よく見えないからといって、
立ち上がったとします。
立ち上がることによって、
よく見えるようになって、
その人の満足度は上がります。
けれども、ほかの人も、
「おれも」、「わたしも」と、
その人と同じように立ち上がったとしたら、
最終的には、全員が立ち上がってしまい、
全体としての満足度は
下がってしまうことになります。
同じように、
もしも、カップルさん一組一組が、
自分たちの欲望に素直に従って、
ほかのカップルさんにはお構いなく、
自由に楽しもうとしたら、
最終的には、
全体としての満足度は
下がってしまうことになります。
自分たちの素直な欲望を叶えようと行動することが、
結果的には、
自分たちの満足度を下げてしまう
ということになるのであります。
つまりは、知らず知らずのうちに、
自分で自分の首を締めている状態に
なってしまうということであります。
ですので、
お店側といたしましては、
お客さま一組一組の、
個別的な満足度についてだけでなく、
「全体としての満足度」
というものも
考えないといけないんですよね。
そして、
「部分としての満足度」と「全体としての満足度」を
結びつける方法のひとつとして、
エイジャでは、
「相互鑑賞」というものを
採用しているのでした。